魅惑のくちびる
5:不協和音

うちの会社は食品会社だ。

大手とは言えないけれど、地場を主流に展開している。

販売流通課は、販売管理やそれに伴う流通管理が主な仕事なので、繁忙期以外は比較的緩やかな仕事量だ。

雅城のいる商品開発課は、繁忙期というよりもいつも忙しいイメージがある。

新製品の開発、ユーザーアンケートに基づいての商品の改良と、日々やることが押し寄せているイメージだ。


今日もうちの課は、定時で業務終了。

わたしは残務を片付けながら、待ち合わせ時間まであと1時間もあることを少し気にしていた。


――悩みの種は、いつも雅城だ。

待ち合わせまで一緒に時間をつぶしていたと知ったら……またも心配の要因を一つこしらえてしまうのがわかる。

それが辛くて一生懸命仕事を探してみるけど、机の上ももう3回もまとめたし、パソコンもシャットダウンするよう促された。

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