魅惑のくちびる
「これが、ペンギンのとこで撮ったやつね。なかなかいいだろう?」
通行人の人にお願いして、松原さんと並んで撮った一枚だ。
「よく見るとさ、オレ達を挟んで、ペンギンが左右に2羽ずつ並んで向かい合っているんだ。
こんな写真、撮ろうと思ってもなかなかうまく行かないよ。
後で焼いて、記念にあげるからね。」
それは本当にかわいくて、本来ならフォトフレームにでも入れて飾っておきたいくらいのスナップ。
残念ながら……それは実現できそうにない。
「ありがとうございます。」
短くお礼だけ言うと、わたしの頭の中はすでに、貰った後のその隠し場所はどうしようかと考えていた。