魅惑のくちびる

「本当にココでいいの?」

朝来たコンビニよりもずっと手前の角を曲がった辺りでいいと伝えた。

雅城がいつ帰ってくるかわからないから、バス通りにあるコンビニじゃぁ、まかり間違って姿を見られでもしていたら大変なことになる。

「はい。ダイエットも兼ねて、帰りは余計に歩くのが日課なんです。」

……本当はそんな日課、3日も経たず挫折してるけど。


「ダイエットかぁ。……璃音ちゃんはそのままがいいよ。

ココ重要よ、そのまま『で』いいんじゃないんだ、そのまま『が』、だからね。」


たった一文字で、全く意味合いが変わって来ちゃうんだから、言葉って不思議。

そんなことを脳内で考えていたら、頬に松原さんの顔が近づいて、唇が触れた。


「ハハハ。さすがのオレも、道路じゃココにしか無理だ。

じゃぁ、また月曜日にね!」


人目を気にしたわたしは、お礼を言うと車から急いで降りた。

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