魅惑のくちびる

「璃音さー、北野さんじゃなく、もっと楽につき合える人探した方がいいんじゃないの？」

由真の発言は、わたしを思ってくれてのこと……。

わかってはいるけど、正面切って反対されると、ちょっとだけ悲しくなる。


「だってさ。口にするのはいっつも雅城、雅城で心配ばっかりして。

あたしだったらとっくにおかしくなるか別れてるよ。

確かに北野さん、かっこいいし、仕事でも頼れて憧れるけど……

璃音から聞いている限り、とてもじゃないけど私生活を一緒に過ごそうなんて思うタイプじゃないもの。」

確かに由真はいつも、わたしの話に半ギレだ。

その都度、わたしがまた雅城のことをかばうからイラッと来るんだろう。


「それでもね。やっぱり、雅城が好きなんだと思う。

わたしを思ってくれるからこそ、あれだけ心配するんだろうし……。」