巫女と王子と精霊の本


「もし、記憶が戻らなかったら…」

「う、うん…」


記憶………
嘘ついてるんだ、私。


心の中が罪悪感でいっぱいになる。


「帰る場所が見つからないなら、ずっとここにいればいい…」

「っ!!!」


"ずっとここにいればいい"胸が切なく疼いた。


ずっと……
エルシスの傍にいたい。


傍にいれたら……


その一方で私の世界に残してきた家族を思い出す。


仕事で忙しい二人だったけど、私を大切に育ててくれた。


あそこは……
私の帰る場所だ……









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