巫女と王子と精霊の本
『愛するのに種族なんて関係ないわ』
―そういうものかな…
『あら、あなたにはいないの?』
―私!?私は…あはは……』
いる…
なんて言えない。
好きなんて言えない。
言ってしまったら止まらなくなるでしょう?
だから…言わない……
『…いつでも相談に乗るわよ』
―あ、ありがとう…
女性…いや、メスのお馬さんは私の気持ちを見透かしているようだ。
『話しは戻るけど、マヌラ族は歌で竜を沈める事が出来るんだ。マヌラ族は竜を沈め、竜と共に他の地へと飛んでいったんだって』
―そんな事があったんだ…
『あくまで聞いた話だけどね』
でもマヌラ族が次の災厄を防ぐ鍵になる。
―マヌラ族って今はこのアルサティアにいないの?
『マヌラ族は竜とこのアルサティアを出てしまったからね、僕にもわからないよ』
そんな………
それじゃあこの世界にいないかもしれないの!?