巫女と王子と精霊の本
マニル国に入ると、マニル国の民達がパニックを起こしていた。
逃げだそうとする者、建物に身を隠す者…さまざまだ。
「皆さん!!!嵐が来ます!!急いでマニル国から逃げて!!」
私の声に、何人かが振り返ったがそのまま無視されてしまう。
「津波が来るんです!!急いでここから離れて!!高い所へ逃げて下さい!!」
それでも諦めずに、私は叫んだ。
「津波が来るって本当かい?」
「本当です!!早く逃げないと!!」
私の言葉に何人かは耳を傾け、集まってくれた。
それに便乗して皆が集まってくる。
それでも、全員では無かった。
とりあえず、今ここにいる人達だけでも…
「ここから近い所で、一番高い所ってありますか!?」
私は近くにいた男性に声をかける。
「ここなら、トアルの丘だな。あそこだ」
男性が指差したのは、私がさっきいた丘だった。
「お願いします、ここにいる皆をあの丘へ連れて行って下さい!!」
「わかった。だがあんたはどうする?」
「私はまだ残ってる人を連れてから合流します。でも、波がマニル国を襲い始めたら、構わず置いていって下さい」
私の声に、耳を傾けてくれる人は少ないと思うけど…
このまま見捨てて行くなんて出来ない!!