巫女と王子と精霊の本
「で、巫女サマはこんな朝っぱらからなにしてるの?良からぬ事?」
セキはニヤニヤしながら私の顔をのぞき込む。
「セキじゃあるまいし、違います。友達に会いにね」
「友達?」
「そう、ここにね」
しばらくあるくと馬小屋の前にたどり着く。
「は?馬小屋?」
「そう、馬小屋!」
―キィ…
「みんな、おはよう!」
扉を開けてすぐみんなに声をかける。
『あ、巫女様!』
『巫女様じゃのう』
『あら、巫女様ね』
馬さん達がワラワラと私に集まって来る。
―おはよう、朝早くごめんね。
『我らは人間より早起きだからの、気にせんでよい』
『巫女様、何か進展はあった?』
『巫女様、僕と遊んでー!!』
みんなが口々に言いたい事を言う。
だから私、聖徳太子じゃないんだって!