巫女と王子と精霊の本



「…エルシス…。どうにか竜をこの国にいさせてあげられないかな?」


なるべくいつも通りに話しかける。


いつも通り笑えてたかな…
私、今すごく怖い………
もう口をきいてくれなかったらどうしよう……


「大丈夫だ、共に共存する事で争いを止められるなら容易い」



エルシス笑みを浮かべる。
それもぎこちなかったが笑顔を向けてくるただけいい。


私はそれだけの事をしたんだから…



―この地の森なら広い。そこに住まうといい。そこで俺達人間を知ってもらいたい。



『しかと、見定めさせてもらうぞ、人間の王子よ』

ーああ、そうしてくれ。


竜とエルシスが見つめ合い頷き合った。




―グオォォォッ!!


そこに別の竜の咆哮が聞こえた。
空を見上げると竜の群れが炎をはいて大地を焼いている。















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