巫女と王子と精霊の本
「……そんな…こんな事って…っ!!」
まさかフェルの言ってた……
黒の結末に変えた誰かが…………
「…エルシス……」
「鈴奈!?顔色が悪いぞ?しっかりしろ!!」
エルシスが今にも崩れ落ちそうな私の肩を抱いて支える。
「…ごめん、エルシスの事騙したのに…こんな……」
優しくしてもらう権利なんかないのに……
「…鈴奈…俺は……」
「いいの!!…何も言わなくていい……」
エルシスの言葉を遮る。
拒絶されるのが怖い………
そんな言葉を聞いたら、私は進めなくなる。だから今は……………
「……お願い、フェル。私に力を貸して…。本よ、私に救う為の道を教えて!!」
―パァァァァッ!!
光りが瞬き、本のページが物凄い勢いでめくれていく。
―竜王と和解した王子でしたが、竜は砦の魔女に操られ、アルサティアの大地を焼き、生き物を殺し、最後まで戦った王子とマヌラ族の少女もついには炎にのまれ命を失いました。
《白の結末》
マヌラ族の少女の歌声で竜を眠らせ、その間に王子は砦の魔女を倒しました。呪縛から解き放たれた竜達は竜王と共にアルサティアの森で人間と共に生きる道を選びました。