巫女と王子と精霊の本
「……ルイヴィエ、あなたにお願いがあるんだ」
私はルイヴィエの目線に合わせるようにしゃがむ。
「ここで、竜達を止めてほしいの。ルイヴィエの歌ならそれが出来るから…」
ルイヴィエにはきっと苦しい思いをさせる。こんな小さな子供のまで巻き込まなきゃいけないなんて…
「…わかり…ました。私…頑張って…みます」
「…ありがとう、ルイヴィエ…」
これで竜を止められる。
でもルイヴィエを一人には出来ない。
「…セキ、セレナ!ルイヴィエの事をお願い!」
二人ならルイヴィエを守ってくれるだろうから……
「巫女サマの傍にいたいけど、巫女サマのお願いだしね、頑張りますよ」
セキはおどけたように笑う。
「私も……巫女様のお願いですから、必ず成し遂げます」
セレナはまだ震えていたけれど、私に笑いかけてくれる。
「二人共、ありがとう!」
二人にお礼を言って今度は エルシスに向き直る。