巫女と王子と精霊の本
「ギオウ国の砦の魔女…。その話にかけるしかないね。魔女を倒す事がこの事態を解決する方法。エルシス、それでいいかな?」
「ああ、構わない」
でも、砦までの道案内をどうしたら……
「巫女サマ、砦までは俺が案内したほうがいいんだろうけど、ここでこの子を守る手も必要なんだよね、ならエルシス王子を置いていけばいいんじゃない?」
エルシスを置いてく……
確かに今はそれが最善である事は私にもわかる。でも……
「魔女を倒すのはエルシスでないと駄目。他の誰かでは駄目」
物語を変えてはいけない。正しい結末に変える為にも…
「どうしてそんなにエルシス王子にこだわるわけ?別に王子じゃなくたって…」
「……エルシスでなきゃ駄目なんだよ…。エルシスはこの世界の希望として存在してるから……」
物語のエルシス王子は世界を救う希望という存在。
どからこそこの人は希望でなくちゃいけない……
そのせいで、沢山の苦しみを背負うのだとしても、必ず幸せになれるはずだから…
「…セキも俺たちに同行しろ。ルイヴィエは兵達に守らせる」
エルシスの指示に兵士達が力強く返事をする。
「巫女様、ご安心ください!私達が必ず娘を守ります!」
「どうか私達の国をお救い下さい、巫女様!エルシス王子!」
みんな………
そうだ、みんなを信じよう…
「行こう、エルシス、セキ」
こうして、私達はギオウ国の忘却の砦へと向かった。