巫女と王子と精霊の本
――――――――――――――
――――――――――
―――――――
「……ここがギオウ国っ……!」
なんというか、日本にそっくり!
昔の日本というか、歴史の、教科書に出てきそう!
「お、なんか興奮してるね、巫女サマ」
「あっ…ごめんね、私のいた世界にも似たような場所があって懐かしくて」
鳥居なんて見事に日本って感じだし…
「ならさ、いっそギオウ国の巫女になっちゃえば?」
「は?」
セキは何を言い出すんだろう。
冗談のような口振りなのに、真剣な目をする。
「セキ、笑えない冗談はやめろ」
エルシスが不機嫌そうにセキを睨みつける。
「俺は本気なんだけどなー。巫女様、可愛いし」
「っ…!」
セキの一言にエルシスが眉間にシワを寄せる。
…エルシス?
セキのいつもの冗談ならサラッとかわすのに一体どうしたんだろう…
「怖い怖い。そんな仏頂面で王さまに会ったりしたら駄目だよー?」
セキはわざとエルシスの怒りをかうような口調をする。
絶対楽しんでるな……
「セキ、残念だけど私はエルシスの行く所以外は行かないよ?」
エルシスの傍にいる事が世界を救う最善の策。
そしてなにより……
私がエルシスの傍にいたい。
この人を守りたい……………