巫女と王子と精霊の本





「セキ!!」


目線で魔女を指す。


魔女の気を反そらせれば隙をつける。
たぶんそれが出来るのはセキだろう。



「はいはい♪」


おちゃらけた返事ではあるがどうやら理解してるみたいだな。



「ねぇ、オバサン」

「なんだい、ぼうや…っておばっ!?」



おい……いきなり何言い出すかと思えば…



「え、違った?」

「私のこの美貌を見てオバサンなんてよく言えたもんだねぇ、お前」

「俺、熟した果実には興味ないし、出来ればまだ誰にも手つけられてない果実を剥きたいのが男の性っていうか?」


「は、わかってないねぇ!ただ狭いだけが女の良さじゃないさ!問題は包容力、母親のような愛さ!」


とんでもない会話だが、なんだかんだで魔女の手が止まっている。


ゆっくりと魔女の背後にまわる。



「母親?勘弁だね!」

「なにさ!ぼうやの分際で!!」


魔女の怒りがピークに達したのか、セキに向かって手を翳す。



セキが一瞬こちらに視線を向ける。
恐らく一撃がセキに向かう瞬間を狙えということだ。









< 168 / 300 >

この作品をシェア

pagetop