巫女と王子と精霊の本
「喰らいな!!」
魔女が炎に声をかけると、炎が一直線にセキへと向かう。
「はぁぁっ!!」
魔女の目の前に出て剣を振り上げる。
「なっ……!?」
魔女は目を見開いて俺を見つめる。
―ザシュッ
「ひぎゃぁああっ!!」
―ドサッ
悲鳴を上げて魔女は地面に転がった。
「………………………………………」
鈴奈……………
怒るだろうな………
話し合いではなく戦う事でしか解決出来なかった。
剣から流れる血を見ると胸が締め付けられた。
「…はぁっ…なんだい……。後悔……して…るのかい…?」
魔女は血を吐きながら笑う。
「後悔……。そうだな、俺はあいつの望まない結果で終わらせてしまった…と思ってな……」
「はっ!…お前まで…甘い事を……。っ…でもまぁ…いずれお前は…私を…深く憎むだろうさ…」
「どういう…事だ……?」
「言葉の通りさ…。だから…お前が…私を殺した事に後悔など不要さ……」
こいつは、先程から妙な事をいう。
嫌な予感がしてならない。
「……お前と…白の結末を綴る娘……。決して結ばれる事のない…さだめに苦しめ……アル…サティア…の…勇者よ……」
―サアァァッ
それだけを言い残し魔女の姿が砂へと変わり風に溶けた。