巫女と王子と精霊の本
「やったじゃん!って…王子、どうしたの?」
セキが傍にやってくる。俺の顔を見てセキは目を見開いた。
おそらく不安を隠しきれなかったんだろう。
魔女の言葉が頭から離れない。
だが今は……
「…いや、何でもない。行くぞ」
「そう…。まぁ、そういう事にしといてあげる」
セキは何か感じていたのかもしれない。
それでも触れないでいてくれるのがありがたい。
不安を振り払うように俺達は砦の奥へと駆け出した。