巫女と王子と精霊の本
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「あなた…誰……?どうして…」
聞きたい事がたくさんある。
あなたは誰なのか、どうして私にそっくりなのか…
「お前はまだ思い出せないのか?お前の半身だというのに…」
「半身……?」
…半身ってどういう事?
「空間を越えた時にお前は記憶を失ったようだな」
「一体なんの事?私は記憶なんて…」
失ってない。
そう言いたいのに言い切れない。
何…この違和感………
「…わからないか、この俺が誰なのか」
男は楽しそうに笑う。
本当に何が起こってるの?
私…何も知らないのに…
知らないはずなのに………
「否定してもいずれ思い出す。俺という存在をな」
「…わからないよ、どういう事?私とあなたにどんな繋がりがあるの?」
この人は一体…………
「俺は黒の結末を綴る者。そして…」
男は私と同じ顔でニタリと不気味に笑った。
「鈴奈!!」
「…エルシス!?…にセキ!」
そこにエルシスとセキが現れる。
「無事か!?鈴奈、本当に無事か!?」
エルシスは私のあちこちを触り無事を確かめる。
あ…そういえば服………
自分の体を見ると白いドレスに着替えさせられていた。
「にしても、こんな所に一人で不安だったでしょ?早くここを出よう」
セキが私の肩を抱く。
「…一人……?違う!!ここにはあの人が!!」
バッと振り返って私と同じ顔を探す。
「……え………?」
あの人の姿がどこにもない。
さっきまでそこにいたのに…