巫女と王子と精霊の本
『蝕まれて、最後に後悔するのだ。愛なんて知らなければよかったと』
あの冷たくて悲しい声が聞こえてくる。
愛なんて知らなければよかった…
そう思う日が来るなんて考えられない。
だって……
私はエルシスを大切に想う気持ちを後悔なんてしない。
『鈴奈、またなにか背負ってきたのか?』
―エクレーネさん………
うかつだった……
心話で私の考えてる事筒抜けだったんだ。心配かけたくないのに…
『馬鹿だな。私に気を使う必要などない。お前が私を頼りたいならいつでも頼ればいい。それが私達の契約だ』
―エクレーネさん……
ありがとうございます、でも私…
やっぱり心配かけたくない。
実感は無いけど、死ぬなんて言えない。
『お前が背負いきれないならいつでも話せばよい』
―はい、ありがとうございます!
なるべく明るく答える。
『鈴奈、物語は変わったかい?』
今度はフェルが話しかけてくる。
「あ!見てみるね!」
フェルに言われて本を開いてみる。