巫女と王子と精霊の本
「っ!!!」
私はとっさに男性を庇う。
―ザッ
「…っ…」
痛っ……。
間一髪で命中は避けたものの、飛んできた木の破片が、私の足に刺さっていた。
「無事か!?」
エルシス王子が私に駆け寄る。
「へい…き…っ…」
心配させないように笑顔を向ける。
木の破片、ぬかないと…。
私は木の破片を掴み、一気に抜く。
「っ!!!」
痛みで声にならない。
血がどくどくと流れる。
―ビリビリッ
私はワイシャツを少し破り、傷口を覆った。
「馬鹿、無茶をするな!!お前は女だろ!?」
「今はそんな事言ってられないよ。それより男の人は…」
「お前が一番重症だってのに、人の心配か?」
エルシス王子は呆れながらも私を抱き上げる。
「なっ!!自分で歩けるよ!!」
「無理だ。その出血で数十分歩き続ければ立っていられなくなるぞ」
「でも…」
「黙って運ばれてろ」
有無を言わさないエルシス王子に、私はしぶしぶ頷いた。
エルシスの顔が近い…。
睫毛長いな、それにすごくカッコイイし…。
って、こんな時に不謹慎だよ!!