巫女と王子と精霊の本
「あーらら、放心状態かな?」
セキは苦笑いを浮かべた。
「あ、エルシス?」
まだ固まったままのエルシスに私達は歩み寄る。
「王子、鈴奈にみとれた?」
「ぶっ!!げほっ、ごほっ!!」
急にエルシスが咳き込む。
「な、どうしたの!?」
「いや、何でもない…。鈴奈、綺麗だな」
エルシスが私を見つめて微笑む。
心なしか顔が赤い。
「え、あ、ありがとう。なんかこういうの着なれなくて、自信なかったんだ!」
エルシスに綺麗って言ってもらえると嬉しい!
つい顔がにやけてしまう。
「なぁ、鈴奈。この後ダンスがあるんだ。相手に俺を…」
「王子、抜け駆けは駄目だよ。俺、立候補したから」
「!!」
セキの言葉にエルシスが驚く。
え、なんの話!!?
「な、お前本気か?」
「うん。さっき気持ちも伝えたし」
「なっ…それで鈴奈はなんて……」
エルシスが私に答えを求める。