巫女と王子と精霊の本



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私が小学生の時から親は共働きで、学校の行事なんて一度も出てくれた事なんてなかった。


それどころか親は転勤を繰り返していたから友達も出来なかった。


「まま、みんなお弁当だよ?私は…」


どうしてお弁当じゃないの?


一度だけお母さんに聞いた事がある。

コンビニ弁当というだけでみんなの輪に入れなかった事が悲しかったから。



「仕方ないでしょ、ままは忙しいのよ。あなたの為に働いてるの」



仕方ない、そう言って遠ざかる背中を見つめるのは悲しかった。

心が冷たくなっていくみたいだった。


「良い子にしてるんだぞ」

「まま達は今日も帰りが遅いから、チンして食べるのよ」



たぶん冷蔵庫の中にある夜ご飯の事だろう。


また心が冷たくなっていく…



お金なんていらない、贅沢なんかできなくていい。
ただ温かければよかった。



もっと傍にいてほしかった。



そんな時だった、あの本に出会ったのは……

















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