巫女と王子と精霊の本
「この世界で私は一人…」
『孤独を与えるこの世界が憎い』
心の中でもう一人の自分が喋る。
「あの世界に行きたい」
『どうせあの世界は幻想。期待させて裏切る、残酷な世界』
「私はあの世界で生きたい」
『私はあの世界を壊したい』
相反した心の中に住むもう一人の私。
小さい頃、ずっと私の話し相手だった。
どうして今まで思い出せなかったんだろう……
「あなたはどうして悲しい事ばかり言うの?」
『お前は何故夢ばかりにすがる?』
酷いことを言う人。
でも私の本心をつく怖い人。
「私も特別なら良かったのに」
『期待するだけお前が傷つく』
それでも、私は一人ぼっちが嫌。
だから誰かの特別になりたかった。
誰からも必要とされる人になりたかった。