巫女と王子と精霊の本
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「こんなもんでいいかな…」
自分の荷物をダンボールへと詰める。
そのふたをガムテープでしっかり閉じた。
私、浅夏 鈴奈(アサカ スズナ)は親の転勤で明日引っ越す事になったのだ。
高校卒業間近で引っ越しなんて…。私、転校しても友達出来るかな…。
特別美人というわけでもなく、どちらかというと童顔。
母親は色素が薄く、髪と瞳は栗色だった。
「はぁ……」
不安で一杯になる。
本当はずっとここにいたい。
「あれ…?」
全て片付け終えたと思ったのに、先程閉じたダンボールの上に、分厚い本が乗っかっていた。
こんな本、家にあったっけ……。
不思議に思いながら、それを手に取り開いてみる。
「あ!!懐かしい!!」
幼い頃、私の大好きだった本だった。
王子様とお姫様が幸せに暮らす温かい物語…。
これを見て、お姫様になりたいなぁ…なんて思ったっけ。