巫女と王子と精霊の本
「俺に出来る事は何も無いのか…?」
私に言ったのか、それとも自分への問いかけか、どちらともとれる言葉だった。
「何かしようなんて考えなくていい、エルシスはたまにわたしに笑いかけてくれるくらいで…」
本当はそれだけじゃ足りない…
もうこの人無しでは生きられないんだと思う。
それでも……
私はエルシスとは生きられない……
「それだけじゃ、俺が耐えられないんだよ!!」
「…エルシス……」
エルシスは優しいね……
私なんかの為にこんなに必死になってくれる。
それが私と同じじゃないものだとしても、嬉しい……
こんなにも愛しい………
―ズキンッ!!
「…っ…!」
痛みと共に意識が遠ざかる。
この人を想う痛みなら、あってもいいかもしれない。
それだけ、私はこの人を愛してるって事だから…
この想いはやっぱり無意味なものじゃなかったよ…