巫女と王子と精霊の本
「!!」
そこには鎖に繋がれた美しいお姫様がいた。
不安げに私を見つめる金の髪に瞳。
綺麗な人……
どうしてこんな綺麗なお姫様がこんな所に…
「ここへ人が来たのはあなたが初めてです」
「私は浅夏 鈴奈、あなたは誰?」
「私はヴェルデ国の第一王女です。名をラミュルナ・ヴェルデと申します」
王女様!!?
ヴェルデ国、初めて聞いた名前だ。
「えと、王女様がどうしてここに?」
「魔王に捕らわれてしまいまったのです…」
「魔王……」
もしそれが本当なら、このお姫様は……
「もしかして、癒しの姫…?」
本に出てきたこの物語のもう一人のキーパーソン。
「っ!!何故それを!?」
「ラミュルナ王女、やっぱりあなたが癒しの姫なんだね」
「あ、あなたは何者なのです…?」
ラミュルナ王女は私を警戒したように見上げる。
「不安…だよね……」
こんな所に捕らわれて、私の事も信じられないんだ。