巫女と王子と精霊の本


「でも、魔王はラミュルナ王女を花嫁にしたくて捕らえたんだよね?」


愛情の形はものすっごく歪んでるけど!



「…それは、私が癒しの力をもっているからでしょう。そこに愛はありません。こんな力、望んではいなかったのに…」


「ラミュルナ王女……」



力が嫌いなのかな?
たくさん辛い思い…してきたんだね、きっと。



「…ラミュルナ王女。その力は、きっと意味があってあなたに与えられたんだと思うよ」


「そうだとしても、この力は私を孤独にします。今だって…」


俯いてしまうラミュルナ王女に私は安心させるように笑顔を向ける。



「ラミュルナ王女…。あなたの力はあなたが幸せになる為にあるんだよ」


大丈夫だから…迷わないで。



あなたは私が欲しくても欲しくても手の届かないあの人の愛をもらえるんだから…


「何故、そう言いきれるのですか?」

「うーん、巫女の力…かな?」



本当は物語の結末を知ってるだけだけど…











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