巫女と王子と精霊の本
―竜王、私が選んだんじゃありません。エルシスが自ら選びとった道、掴んだ道が王道だったんです。
それは運命さえ変える存在。
『…のう、巫女よ、我はこの王の子に、竜と人が共に生きる未来を見た。もう迷いなどない』
―共に戦ってくれるのか?
『共に生きる道を、我等も選びとろう』
二人が見つめ合う。そこには王道を歩んだものにしか分からない絆のようなものがあるように感じた。
―さぁ、今度はギオウ国へ。
私達は今、手を取り合わなくちゃ!
『ならば、我の背へ。我等を導け、アルサティアの巫女よ』
―ありがとございます、竜王。
背を貸そうと屈んだ竜王女に私は笑顔を返した。