巫女と王子と精霊の本

相反する心



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ヴェルデ国侵軍へ向けて、カイン国、マニル国、ギオウ国、竜一族を筆頭に各国からも兵が集まった。



ヴェルデ国まであと3日となった。
キリアラ山を越えた所に、輝きの都と謳われた豊富な鉱石が採れ、ヴェルデで造られる宝石はアルサティア一といわれる程だったというヴェルデ国の跡地があるらしい。


「今日はここで野営だ!各自持ち場につけ!!」


エルシスの声に野営の準備が始まる。




今はキリアラ山を下山している。
ヴェルデ国は下山してすぐそこだ。



「負傷者はいない?」

「はい、その報告はありません」

「そう、なら野営の準備に加わって」

「承知しました」


セキも自軍の兵士に指示を出す。


これから始まるんだ……
戦いが、大切な人を守る為に、共に生きていくために…




カイン国で帰りを待つセレナの姿を思い浮かべる。




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『巫女様、絶対帰ってきてくださいね!でなきゃ…でなきゃ…許しません!』


出発の時、セレナは泣いたり怒ったり忙しかった。


『私は、あなたを慕い、一生をかけて仕えると誓っているのです。それだけ、あなた様にならこの命を捧げても惜しくないと思っております』




セレナは泣きながら私の手を握り、笑顔を浮かべた。


『帰りをお待ちしています、鈴奈様』





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「セレナ……」


絶対セレナのもとに帰るからね。
そうしたら、一緒にお茶する時間くらいはあるかな?

それとも、すぐに帰らなきゃいけないのかな?


それは…寂しいな……













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