巫女と王子と精霊の本
「……少しだけ、一人になりたいな…」
考えれば考えるほど苦しくなる。
今は静かな場所にいたかった。
野営からは少し離れた場所で腰を下ろす。そのまま木に寄りかかった。
「………ラミュルナ王女…」
今、孤独に震えるあの人へ。
私も同じ孤独なのだと伝えたい。
私は……
この世界には必要無くなる。
全てが終わってしまえば……
いずれ、エルシスも私の事なんて忘れちゃうんだ。
私を…想ってくれた気持ちも……
「寂しい…私も……」
私もこの世界にいられたら…
「もう止めよう!」
考えるだけ迷ってしまう。
物語が終わらなければいい、そんな嫌な自分の気持ちもみたくない。
―ドサッ
勢いよく立ち上がると、本が地面へと落ちる。
「…あ…」
落ちた本を拾おうとして息を呑んだ。
「……これ………」
綴られていなかった未来が綴られている。
恐る恐る本を手に取る。