巫女と王子と精霊の本
「綺麗だね、エルシスは」
「…は?なんだいきなり」
つい、素直に言葉か口から出てしまった。
そんなあたしの言葉に、エルシスは目を真ん丸にして私を見る。
…ちょっと可愛い。
「エルシス、どんなに希望が見えなくても、あなただけは諦めないで。諦めなければあなたは必ず幸せになれるから」
書き換えられた物語のエルシスは、絶望や悲しみを沢山背負って死んだんだと思う。
だから……。
あなたの希望になるって決めたんだ。
あなたが、いつか出会うお姫様と幸せな終わりを迎える為に…。
「私がエルシスの希望で在りつづけるから…」
絶望なんてさせない。
この世界は…私が愛した物語だから…。
「…お前が希望でいてくれるなら、俺は何があっても諦めないと約束する。だから、そんな顔をするな」
エルシスは私の頭を優しく撫でた。
「ふふっ…」
なんか嬉しいな…。
エルシスに触れられると、胸が温かい。
「なんだ、もう笑顔になったか。お前は…表情がころころ変わって目が話せないな」
「えっ…」
「見ていて楽しいぞ」
エルシスが笑う。
私も…エルシスの笑顔から目が離せなくなるよ…
本当に温かい笑顔だから…。