巫女と王子と精霊の本
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「鈴奈!!お前、鈴奈に何をした!!」
鈴奈は鈴奈に瓜二つの男の腕でぐったりとして意識を失っている。
「くそっ!!」
体が動かない!!
すぐにだって鈴奈を取り返したい。
なのに!!
「何で動かねぇんだよ!!!」
俺の体だっていうのに!!
「鈴奈は本来俺と一つだった」
「っ!?」
何を言ってるんだ、こいつは…
男は鈴奈を見つめたまま淡々と話始める。
「この世界に飛んだ時、俺は負の感情を、鈴奈は善の感情をもって二つに別れた。お前もおかしいと思わないか?鈴奈は純真すぎる」
「それは………」
確かに、あいつは綺麗すぎる。
人よりは神に近い…神聖なものに近い存在に感じた事があった。
「人を疑い、憎む心を知らない。何かを手にいれたいという欲すらも。…いや、違うな。知っているが一時的に失っているといったほうが近い」
「どういう…意味だ……?」
「そのままの意味だ。俺と鈴奈は心を分けあっている。本来は一つだったのだ」
「なっ………」
一つだった……?
心を分けあっている?
どういうことだ。