巫女と王子と精霊の本
『お前を孤独にするこの世界も、本の世界も…。俺が壊してやる』
……え……?
『お前が嫌うもの全て…俺が壊す…』
壊す。
言ってることはこんなにも酷く、怖い。
そのはずなのに…
今は、何故か優しさを感じた。
「私は…一人になりたくない…」
『お前を孤独にする全てのものに滅びを』
私は……この本の世界が憎い。
私を一人ぼっちにした。
私の望みは、孤独からの解放。
「全部、なくなっちゃえばいい…」
『アルサティアを…』
「世界を…」
もう、夢は抱かない。
だって、裏切るから。
だから、夢をくれたこの世界が憎い。
私は愛したのに、裏切った王子さまが嫌い。
「壊しちゃえ…」
『壊そう』
そう、そして私たちは闇に堕ちた。
憎しみを抱いて、愛した世界を壊すために。
もう、孤独にならないために……