巫女と王子と精霊の本


「きゃあああっ!!」


そんな温かい気持ちになっていると、遠くから悲鳴が聞こえた。



「な、何!?」

「俺が見てくる」


そう言ってエルシスが走り出す。ほって置けず、私もそのあとを追った。





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「女と金だけかっさらえ!!男は皆殺しだ!!!」

「女、こっちに来な!!」

「い、いやああっ!!」


盗賊が剣を振り回しながら、町の女を次々と馬車に乗せていく。


「お前達!!何してんだ!!」


エルシスがすぐに剣を構え、盗賊に捕まった女の人達を助け出す。


「まずいな、お前等引くぞ!!」


盗賊達が慌てて馬車に飛び乗る。


「やめて下さい!!」


視界の端に、盗賊の馬に乗せられそうになっている女の人が見えた。


「あ!!」


あの人、盗賊に捕まっちゃったんだ!!
助けなきゃ!!


ーダンッ!!


とっさに駆け出し、盗賊に体当たりをする。


「うお!?なんだてめぇは!!」

「今のうちに逃げて!!」


私の言葉に頷き、女の人が逃げていく。


良かった…。私も早くにげ……。


「おい、どこに行くつもりだ?」


ーグイッ!!


走りだそうとして、腕を強く引かれる。


「っ…離して!!」


盗賊が私の腕を掴んでいる。盗賊はニタリと笑った。


「さっきの女より上物じゃねぇか。ん…?お前、その格好は………まさか!!!」



私の服を見て、盗賊は何かを思い出したかのように声を上げる。


「お前がアルサティアの巫女か!!」

「あっ…どうしてそれを…」



って、何で私が巫女だって分かったの!?



「未来を見知る巫女、俺達の世界でも噂になってんだ!こりゃあいいもん拾ったぜ!!」



どうしよう……。
このまま捕まったら私、どうなっちゃうの…?













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