巫女と王子と精霊の本



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―ヴェルデ王国跡地


「これは……なんだ……?」




ヴェルデ王国の城があった場所には、見えない壁のようなものがある。


「この先に行けないね。これも魔法か何か?」



セキは頭をガシガシと掻きながら眉間に皺を寄せる。



俺達は人間だ。魔法何てよくわからないし、使えもしない。



「くそ、どうすれば……」

『そう急くな、人の子の王子』


…な、今声が…。なんの声だ!?


辺りを見回すと、竜王が俺を見下ろしていた。その瞳は、しっかりと俺を見ている。





―竜王…なのか?


おそるおそる鈴奈に教わったように心で声をかけてみる。


『そうだ、我だ。どうやら、ここは魔力に溢れているらしい。あの娘と同じように同調することで言葉を交わす事が出来た』


―同調?
なんだか難しいが、ここにいる限りは言葉を交わせるって事か?



『そういうことだ』


―そうか、良かった。竜王は俺の言葉を理解しているようには見えたが、俺はお前の思いをくみ取るのは難しいからな。
なんせ、表情に乏しいだろ。


『そうか?我にはわからん』



その返答に苦笑いを返す。
首を傾げる竜王に、俺は切り換えて真剣な瞳を向けた。




―竜王、俺は急いでいるか?



先程の言葉を思いだし、尋ねる。


『あぁ、見るに見かねるほどにな』



―そうか………



竜王がそこまで言うんだ、そうとう俺は焦っているんだろう。



『我が何故ここにいる?共に戦う為であろう?一人で悩み、苦しむのではなく、仲間とやらを頼れ。我等、竜一族はその為に在るのだ』


…仲間を頼る……


そうか、なんとかしなければと追い詰められていた。
俺は一人ではないのにな……



竜一族からそんな風に言ってもらえるのは、鈴奈がいたからだろう。



今もこうして、あいつが繋いでくれた絆が俺を救ってくれる。




今度は、俺が守りたい。




「竜王、力を貸してくれ。この先に進みたい!」

『よかろう、我等の背に乗れ』




竜王が頭を屈める。
その上に俺は股がった。




「まさか、竜に乗る日がくるなんてね」


事情を説明すると、セキも竜の背に乗る。
















































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