巫女と王子と精霊の本
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―ダンッ
目の前の大きな扉を勢いよく開く。
一本道をただひたすらに走った。
そして、たどり着いた部屋の扉を開けたはいいが、誰もいない。
「 ラミュルナ王女、私から離れないでくださいね」
「は、はい…」
ラミュルナ王女の声が震えてる…
私はそっとラミュルナ王女の手を握る。
「あ……ありがとうございます」
ラミュルナ王女は笑みを浮かべる。
大丈夫、私たちは一人じゃないから…
そう伝えたくて握る手をギュッと握る。
「ここにくれば何かしらあると思ったんだけどなぁ」
「そうですね、誰もいないようです。ここは……広間でしょうか?」
見渡すと王座以外には何もない。
恐らく広間なのだろう。
「うん?あれは…………」
広間を見渡していると、ある絵画に目が止まる。
何故か、その絵画が気になった。
ゆっくりと導かれるように壁にかかっている絵画に近づく。
「?鈴奈、どうかしたのですか?」
遠くでラミュルナ王女の声が聞こえる。
それにも答えられないほどにその絵に目を奪われる。
「これ………」
そこにあるのは黒髪に赤い瞳の青年と、栗色の髪、瞳の少女が鏡一枚を隔て見つめ合う絵画。
「鈴奈?…これはっ…鈴奈!?」
絵画を見てラミュルナ王女が声を上げる。ラミュルナ王女から見てもこの少女が私に見えるのなら、そうなのかもしれない。
「…この絵は…何……?」
私、この人知らない。
なのに……どうしてかな…?
「っ……」
涙が溢れてくるのは…