巫女と王子と精霊の本
エルシスが剣を構えて走り出す。
「そ、それ以上近づくな!!この女を殺すぞ!!」
盗賊が私の首に剣の刃を当てた。
ーグッ
「痛っ……」
「くっ…汚い真似を…」
エルシスは足を止め、悔しそうに盗賊を睨みつける。
あたしがいるから、エルシスが動けないんだ。
「はっ!!!口だけか、王子さんよ!!」
盗賊の刃が首にさらに強く押しあてられる。
「…っ…」
「鈴奈!!!」
その刃が、さらに私の皮膚を傷つけた。
あれ……?
この人の剣、震えてる…。
首に触れている剣がガタガタと震えているのに気づいた。
まさか……この人、エルシスが恐いんじゃ…。
そっと盗賊を見上げると、大量の汗をかいていた。
心なしか、呼吸も荒い。