巫女と王子と精霊の本



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「おい!!もちこたえろ!!!今、アルサティアの巫女が戦っている!!
俺達も負けられない!」




魔物が次々と現れ、疲労も限界に達した。
それでもなんとか立てているのは、あいつのおかげだろう。



俺は結局、最後まであいつを守れなかった。



でもせめて……あいつとの約束だけは守ろう。



「アルサティアの未来を……」




俺は剣を構え直し、魔物へと向ける。




「守るんだよ!!!!」





―ザシュッ!!!




「ギャーッ!!!」



魔物をなぎ倒し、兵の指揮をとる。



「エルシス、あまり前へ出ると危ないって!!ま、言っても聞かないだろうけどっ!!」



―ザシュッ!!


セキが苦笑いをしながら魔物を倒していく。




セキと二人背中合わせで魔物と向き合う。気づけば魔物に囲まれている。



「うわー…やばいなぁ、これ。ハハッ…」


「お前、笑ってる場合か?」



セキをとがめながらも、自然と口角が上がるのを感じる。



こんな絶望的な状態でも笑っていられるのは、仲間がいるからなんだろう。




『エルシス、また来るぞ』


―あぁ、わかってる。


剣に水気が集まっていくのを感じる。



俺が負けるわけにはいかない。
俺が守るんだ、このアルサティアを!!



剣を天にかざしたとき―…



―キィィィンッ


「痛っ!!」


物凄い耳鳴りとともに眩い光が弾ける。



『ギャァァァッ!!!』


魔物の断末魔の叫びとともに魔物が一瞬にして姿を消した。


「魔物が……消えた……?」

しだいに雲間から光が差し込む。


綺麗……だな…。


空に手を伸ばす。



「鈴奈……」



おそらく鈴奈達がやり遂げたんだろう。


周りを見渡すと、皆が武器をおろし、天を仰いでいる。
それはまさに神秘的という言葉が一番しっくりときた。
















































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