巫女と王子と精霊の本
「鈴奈………?」
そんな私の様子に気づいたのか、エルシスが小さく頷いた。
「わかりました。では、あなたの未来についてお話します」
「俺の……未来っ!?」
それだけで盗賊は怯えたような顔をする。
「私が巫女で、巫女にはどんな力があるか、ご存じですよね?」
「そ、そらぁ……」
だから、この人は私を知っていたんだろうし。
「あなたは近い未来…」
ゴクンッと盗賊が唾を飲んだ。
「死にます」
「なにぃぃぃぃっ!?」
白目…むいてる…。
あれ、死ぬはさすがに言い過ぎたかな…。
「お、おおお俺はどうすればっ!!」
申し訳ないけど…私に意識が集中してる今なら…。
私はエルシスに視線を送った。エルシスは頷き、盗賊との距離を縮める。
「そうですね、まずは…」
「まずは…?」
盗賊が身を乗り出して私の話しに食い入る。
「自分の罪を償う事だ!!」
―ガキーンッ!!!
エルシスが盗賊の剣を跳ね飛ばし、その隙に私はエルシスの元へと走った。
「終わりだ」
エルシスは私を背に庇い、剣先を盗賊の首に当てる。