巫女と王子と精霊の本
―コンコンッ
「誰だ」
エルシスの部屋をノックすると、すぐに返事が返ってきた。
「私だよ、鈴奈」
「鈴奈!?そうか、入れ」
うん?
何で今驚いたんだろう…?
私何かしたかな…って!!
盗賊に襲われた日、エルシスの事無視して帰ってきちゃったんだっけ。
ここ最近考え事ばっかしてたから忘れてた…。
「どうした、入らないのか?」
思い出したらなんか気まずくなってきたーっ!!
でもずっとここに立ってるわけにもいかないよね…。
「…し、失礼します…」
少し緊張しながら、エルシスの部屋へと入る。
「すまん、散らかってるだろ」
エルシスは机の上の書類の山に埋もれている。
えっ…。どうしてこんなことに!?
部屋を見渡せば読み掛けの本やら何やらで散らかっている。
「復興やら、他国との外交やら治安維持やらにおわれてこの通り、片付ける暇もない。…はぁっ…」
エルシスはよっぽど疲れていたのか、机に突っ伏した。
エルシスは王子様だもんね…。
きっと誰よりも頑張ってきたんだ。でも今は本当に辛そう…。