巫女と王子と精霊の本
『この物語を作った作者さ』
「あなたが書いたの!?」
精霊が本を!?
もう何が何だか…
『僕が書いた本には命が宿る。この本もその一つ』
命が…宿る……??
『僕が作ったこの本の世界が、本当に存在してるんだ』
「そんな事って…」
『この本は、幸せな物語だったんだ。でも…』
フェルは悲しげに俯く。
『僕の作った物語を、残酷な物語に変えたやつがいるんだ。君も見ただろう、変わったこの物語の結末を…』
「あっ………」
大好きだった幸せな物語が、残酷で悲しい物語に変わってた…
『僕は、変えられた物語を元に戻す為に、その物語を最も愛す人を探していたんだ。それが君なんだ!』
「…私!!?」
『そう君!君にしかこの物語を幸せな結末へ変える事は出来ないんだ!!物語を愛する想いで本の力を使う事が出来る』
私が物語の結末を変える?本の力を…使うって…
『お願い。僕の物語を変えて!!このままじゃ…この本は消えてしまう…』
「消えちゃうってどうして!?」
この本は、私の大切な本なのに!!!
消えちゃうなんて…