巫女と王子と精霊の本
「契約…?」
首を傾げるエルシスに私は頷く。
「私とクレアーネさんがお互いに助け合うっていう約束」
「…精霊と契約までするなんてな…。鈴奈はやっぱり特別なのかもしれない」
私が…特別……?
「未来を知り、人を惹きつけ、精霊と対話する。特別だろ………」
そう言うエルシスは何故か悲しげだった。
…特別なんて…
私はただの女子高生だよ…
ただの人間で、女で…
でも…この世界とは別の世界の人間…
「私は……私はただの人間だよ…」
エルシスの顔を見れずに俯く。
私は…
エルシスと同じ人間。
そう在りたい。
だって…そうでなきゃ…
「そうでなきゃ……」
何……?
そうでなきゃなんなんだろう。
私は…
この世界の人間じゃなくて、本の力で未来が分かって…
いつか、この世界から消えちゃう…
「嫌だ…私は……」
消えたくない…