巫女と王子と精霊の本
庭に出ると、せわしなく走り回るおじさんを見つけた。
「何かあったんですか?」
そう尋ねればおじさんは私を見て慌てて頭を下げた。
「これは巫女様!!あぁっ…どうかお助け下さい!!」
「???」
おじさんは半泣き状態で私の腕にしがみつく。
「さ、こちらです巫女様!」
「う、うん?」
な、何だぁ??
良く分からないままおじさんは私を引きずる。
「おじさん、一体何があったの?」
「実は…これです」
おじさんに連れてこられたのは王家の馬小屋だった。
中から悲鳴やら何やら人の声が沢山聞こえる。
中に入ってみると、馬達が暴れまわっていた。
それを皆が止めようと必死になっている。
「…ここのお馬さん達っていつもこんなに元気なの?」
「違います!!突然暴れだしたんです!」
突然!?
一体どうして…
「あ、お馬さん達が嫌がるような音を出したとか?」
「ここの馬は数々の戦を経験しています。ちょとやそっとの事じゃびくともしません!」
じゃあ何が………
「…まさか……ね…」
私は本を開きページをめくる。
「……何も書かれてない…」
ならまだ災厄は始まってないんだ。
思い出さなきゃ…
次の災厄は確か……