巫女と王子と精霊の本
「竜…。竜が襲ってきて…」
「うわぁぁっ!!!」
「!!?」
突然悲鳴が聞こえた。
視線を向けると男性の前に前足を上げた馬がいた。
「駄目!!!!」
悲鳴に近い声で叫ぶ。
咄嗟に目をつぶった。
「…………」
でもしばらく目をつぶっていたが悲鳴も何も聞こえない。
ゆっくりと目を開けると、そこには馬の綱をひいてくいとめるエルシスがいた。
「ブルッ…ブルッ!!!」
馬は鼻息を荒くして綱から逃げようとする。
「くそっ…一体どうしたんだ!!」
エルシスはだらだらと汗を流しながら綱を引っ張る。
『―怖い…』
「え………?」
突然聞こえた声に周りを見渡す。
『―怖い…』
「また…。これは……」
こんな経験を最近したような気がする。
あぁ!!
そうだこれは!!!
私は暴れ回る馬に近づく。