-Lost Japan-失われし愛国
目の前で倒れる男性に驚きを隠せずに、近くに積み重なれた鉄筋に身を隠し、アサルトライフルを構えて鉄筋の合間から銃口をこちらに向けて冷たい視線を注ぐ少女を見つめた。


「マイク!?畜生、政府の犬なんかに殺られて堪るか…。」


仲間を目の前で失った悲しみに浸れないまま、男性は構えたアサルトライフルを握り締めて出るチャンスを伺う。
少女は人を殺めた事に懺悔の念はなく、銃口を鉄筋に向けたまま今は逃げる事が得策と考えて徐々に後退った。


「…!!逃げる気か?させる訳には行かない…!」


「…!」


少女の行動を阻止する為、鉄筋の陰から立ち上がった男性は少女に銃口を向けて引き金を引く。
音で感知したのか、片足を軸に振り向くと同時に対抗して銃口を男性に向け引き金を引いた。
男性の数発放たれた銃弾の一発は少女の左肩を撃ち抜き、少女は痛みと衝撃に武器を落とし、擦れ違う様に放たれた少女の銃弾は男性の右頬から脳を貫き、命を絶たせる。
アサルトライフルは力の無くなった手の中から滑り落ち、地面に叩き付けられ、男性も後を追う様に倒れた。


「く…っ!」


左肩から衣服に滲み出す赤々とした血を止血し様と右手で左肩を押さえる。
痛みに薄れていく意識を繋ぎ止めながら、地面に落ちた自らの武器を拾い上げて腰の収納部にしまい、壁に寄掛かって息を荒く吐いた。
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