-Lost Japan-失われし愛国
発電施設区域の電磁波の影響がある為か、監視カメラは設置されてはおらず、監視官に注意しつつ蓮哉達は付近に視線を巡らせる。
その視界の先に地面に倒れている男性と、鉄筋に身を預けて息絶えた男性の二人の姿が捉えられ、二人はまだ生きている可能性を考えて片手銃を構えながら歩み寄った。


「こいつ等が、俺達とは別モンのレジスタンスか?」


「恐らく…な。あれは…!」


眉間を撃ち抜かれている男性の顔を見て、首を傾げる晃に相槌を打ちながら、視線を再び巡らせる蓮哉の視界の先に地面に倒れる少女の姿が映り、その少女に歩み寄った蓮哉は脈に指先を当てて、神経を集中させる。


──…ドクン。


「生きてる…か。」


微かだが弱々しい脈を指先に感じ取れば、手早く治療キットを取り出して応急処置を始める蓮哉に晃は歩み寄り、少女の手に握られた一枚の書類を手に取った。


「!…こいつが犯人か。こりゃ設計図みたいだし、この状況からして間違いないな。助けるのか?」


「何でだろうな。普段なら、見殺しにしてる筈なんだが…。」


書類に描かれている何かの設計図に言葉を紡ぐ晃に微かに苦笑を零して、蓮哉は傷口を簡易的な治療で止血し、前髪を手で払って少女の顔を覗き込んだ。


──…少女の顔を見た瞬間、蓮哉の脳裏に強い稲妻が走った様に記憶にない筈の場面が頭を駆け巡っていく。
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