-Lost Japan-失われし愛国
「っ…く…。し、知ら…ないな。」
「知らない訳ねえだろ?軍部の人間なら、政府が嗅ぎ回っている事位、知ってる筈だぜ。」
監視官の言葉に晃は口元に笑みを浮かべるも、同時に苛立ちが込み上げて胸倉を掴む力を強める。
監視官の表情は痛みに引きつるが、軍部としてのプライドか口を割ろうとはせず、晃を見つめ返した。
「例え…知ってたとしても、決して話す訳が…あるまい。」
「軍人としては立派だな。でも、今は褒めてる場合じゃねえんだ。吐かないなら…撃つ。」
「…軍部の掟は守らないと…な。」
眉間に押し当てられた銃口に視線を向け、喉奥から込み上げてくる己の血を堪えながら、腰の収納部から粉末の入った筒を摘み、晃が止める前に自らの口内に粉末を放る。
血液の独特な鉄に似た味と共に粉末が体内に流れ込み、監視官は晃に視線を向け、勝ち誇った様に唇で弧を描かれた。
「低能な…非国民、貴様達の様な愚民が幾ら足掻こうとも、…所詮…は…。あ…が!」
「!!」
力なく上げられた指先は晃に向けられ、嘲笑うかの様に言葉を紡ぐも、だが徐々に表情は体内を蝕む痛みに歪んでいき、瞳の焦点は晃を捉えられず彷徨い、指先は痙攣を始めて次第に体全体に広がる。
視界の先で起きる光景に目を見開くも、監視官は瞬く間に晃の目の前で軍部の掟の強さを見せつける様に息絶えた。
「このアーモンド臭…、青酸カリ…か。畜生!!」
晃は既に動かなくなった監視官を睨み付け掴んでいた胸倉から手を離し、地面に倒れていく相手に背を向けては、苛立ちを隠せないまま、蓮哉を追い走り出した。
「知らない訳ねえだろ?軍部の人間なら、政府が嗅ぎ回っている事位、知ってる筈だぜ。」
監視官の言葉に晃は口元に笑みを浮かべるも、同時に苛立ちが込み上げて胸倉を掴む力を強める。
監視官の表情は痛みに引きつるが、軍部としてのプライドか口を割ろうとはせず、晃を見つめ返した。
「例え…知ってたとしても、決して話す訳が…あるまい。」
「軍人としては立派だな。でも、今は褒めてる場合じゃねえんだ。吐かないなら…撃つ。」
「…軍部の掟は守らないと…な。」
眉間に押し当てられた銃口に視線を向け、喉奥から込み上げてくる己の血を堪えながら、腰の収納部から粉末の入った筒を摘み、晃が止める前に自らの口内に粉末を放る。
血液の独特な鉄に似た味と共に粉末が体内に流れ込み、監視官は晃に視線を向け、勝ち誇った様に唇で弧を描かれた。
「低能な…非国民、貴様達の様な愚民が幾ら足掻こうとも、…所詮…は…。あ…が!」
「!!」
力なく上げられた指先は晃に向けられ、嘲笑うかの様に言葉を紡ぐも、だが徐々に表情は体内を蝕む痛みに歪んでいき、瞳の焦点は晃を捉えられず彷徨い、指先は痙攣を始めて次第に体全体に広がる。
視界の先で起きる光景に目を見開くも、監視官は瞬く間に晃の目の前で軍部の掟の強さを見せつける様に息絶えた。
「このアーモンド臭…、青酸カリ…か。畜生!!」
晃は既に動かなくなった監視官を睨み付け掴んでいた胸倉から手を離し、地面に倒れていく相手に背を向けては、苛立ちを隠せないまま、蓮哉を追い走り出した。