-Lost Japan-失われし愛国
──…日中にも関わらず都市に活気や賑わいはなく、あるのは何もない廃墟の様な静寂。
此所が国の中心の都市の景色だと誰が信じるだろう。
今は栄えた華すら活気という水分を失い、干からび枯れてしまったと思わせる程に空気さえ重く感じた。
「…、取り敢えず本部に着けば。」
背負った少女をしっかりと支えつつ、蓮哉は気配に身体内全ての神経という神経を総動員させる気持ちで見えない神経の網を張り巡らせた。
しかし、深く身構えた警戒心を削ぐ様に一人のサラリーマンらしき服装の男性が、何かから逃げる様に走って来ると思えば、蓮哉の身を潜める建物の前に差し掛かった時に男性の右足を銃弾が鋭く貫く。
「っあ!…う、く。」
「国民NO.6542。国の法を裏切るのか?」
「俺は番号じゃない!…杉浦…杉浦って名前があるんだ!」
「関係ないな。労働力にも満足になれない人間が日本国民として名乗れるだけ有り難く思うんだな。」
痛みに片足を引きずり片手に銃を構えて見下す様な視線の監視官に杉浦と名乗る男性は、僅かに痛みに恐怖を滲ませながらも強気に睨み上げる。しかし、そんな強気な言葉の根をへし折る様に監視官は一人の存在を鼻で笑いつつ、銃を構えたまま静かに言葉を紡いだ。
此所が国の中心の都市の景色だと誰が信じるだろう。
今は栄えた華すら活気という水分を失い、干からび枯れてしまったと思わせる程に空気さえ重く感じた。
「…、取り敢えず本部に着けば。」
背負った少女をしっかりと支えつつ、蓮哉は気配に身体内全ての神経という神経を総動員させる気持ちで見えない神経の網を張り巡らせた。
しかし、深く身構えた警戒心を削ぐ様に一人のサラリーマンらしき服装の男性が、何かから逃げる様に走って来ると思えば、蓮哉の身を潜める建物の前に差し掛かった時に男性の右足を銃弾が鋭く貫く。
「っあ!…う、く。」
「国民NO.6542。国の法を裏切るのか?」
「俺は番号じゃない!…杉浦…杉浦って名前があるんだ!」
「関係ないな。労働力にも満足になれない人間が日本国民として名乗れるだけ有り難く思うんだな。」
痛みに片足を引きずり片手に銃を構えて見下す様な視線の監視官に杉浦と名乗る男性は、僅かに痛みに恐怖を滲ませながらも強気に睨み上げる。しかし、そんな強気な言葉の根をへし折る様に監視官は一人の存在を鼻で笑いつつ、銃を構えたまま静かに言葉を紡いだ。