-Lost Japan-失われし愛国
反発の掛け声は数秒の間に恐怖の叫びに変わり、銃声に逃げ惑う人々を逃さずに銃弾が背後から体を貫き、噴き出した赤々とした鮮血がコンクリートの道路に染み込んでいく。
倒れた人は地面を這いずり、助けを求めるも次第に動かなくなった。
弾が無くなったと同時に懐から予備の弾倉を取り出し、空になった弾倉を投げ捨て代わりに予備を装填すれば再び構えて、兵士達は冷静に、人を殺める事に対して抵抗なく撃ち続けた。
それを繰り返す内に、既に目の前には屍しかなく、水溜まりの様に血が広がっていた。

「任務完了…。」


三人の兵は無線に向かい、静かに言葉を紡いでは、拳銃を腰のホルダーにしまい、目の前に散らばる屍を片付ける為にゆっくりと歩き出した。


2059年4月9日[東京革命の日]


その事件は後にこう呼ばれ、独裁国家日本の幕開けの日となり、再び政府が国民を力で抑える日がやって来たという事でもあった。
そう、国民の意思などに関係なく日本という国は無理矢理高みに上って行った。
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