-Lost Japan-失われし愛国
「倉橋さんは?」


「銃弾は貫通してるから外傷だけで、命に別状はないわ。それより、問題はアリッサの方よ。」


「…。」


「ええ。司令官として、これは見過ごせば反乱を買ってしまう。アリッサには何かしらの刑罰を負わせなければ、ならないわ。」


司令室に重い空気が広がっていく。
刑罰は殺生はしていない為、処刑まで重くはないが、牢獄での生活・最悪な場合、追放となってしまう。
追うのを一時止めてしまった自分に責任を感じているのか、蓮哉は眉間に皺を寄せた。

「今回の責任は俺の管理能力の責任です。牢獄での生活も追放でも覚悟は出来てます。だから、アリッサへの刑罰を軽減して貰えませんか?」


「八神。見苦しいぞ。…決めるのは、あくまでも司令官だ。」


壁に寄掛かった男性に言葉を遮られた蓮哉は男性に視線を向けるも、黒い帽子の鍔は目元を隠しているが、気を弛めれば"殺られて"しまいそうな視線が蓮哉に突き刺さる。
視線が与える威圧感に冷静さを取り戻したか、蓮哉は口を閉じて黙り込み、場に謝罪するかの様に一礼した。


「すみません霧島さん…。」
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