-Lost Japan-失われし愛国
「ひゅー、やるねえ。」


「ふふ、あかーい血って綺麗ね。でも、若い子の血の方が見たいわ。」


「──…あ…が…っ!やはり…貴様を、信用するのではなかっ…た。…R…──!」


車椅子から転がり落ちたBの視界の先には銃口から立ち上ぼる紫煙とRの姿が映る。
薄れる意識に激しい痛みは次第に和らぎ、現世への別れの時が近付く様に体の自由が失われていく中でBの最期の見た景色は崩れていく自身の目指した平和な国だった。


「あーあ…、幹部同士が殺し合いして良いのかよ?」


「そろそろ消すつもりでいたので、良い機会でしたよ。」

事切れたBの亡骸を眺めて煙草を咥え、問い掛けるSの言葉にRは当たり前の事の様に言葉を返して拳銃を収めて、着替えたのか皺一つないスーツを身に纏った姿で椅子に腰掛けた。


「後でそれは片付けとくので、お気になさらず。本題は旧B・板東(ばんどう)も言っていた通り、中国の反乱の問題です。」


「中国って、Wの担当じゃないの。あのオジ様も御盛んよねぇ、ふふ。」


「確かにWは俺ら幹部ん中じゃ、弱いが大丈夫じゃねえのか?」


「いえ、情報によれば彼等も中々の武力を付け始めている様なので、多分…─いえ、確実にWは殺られます。」


「へぇー、でも手は打ってあるのでしょ?勿体ぶっちゃって。」


「ええ、武力は根から絶さないと再び育って来るので…ね。」


Rの言葉の語尾にFとSの口元に笑みが描かれ、窓の外には残酷な太陽が建ち並ぶビルの隙間から僅かに顔を覗かせていた。
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